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イデコ(iDeCo、個人型確定拠出年金)はデメリットが大きく、覚悟が必要

最近は落ち着いた感がありますが、イデコ(iDeCo、個人型確定拠出年金)がもてはやされていました。しかし、このイデコを始めるのは、相当な覚悟が必要です。

ひとたび始めたら、イデコと縁を切るのは事実上不可能に近いからです。

イデコが始まったきっかけ

イデコについて考えるために、まず「なぜイデコの制度が始まったか」を確認しましょう。

日本の人口が増え続けていた昭和時代、年金制度は確定給付型でした。すなわち、年金資産の運用結果にかかわらず、年金給付額は一定とする制度です。

昭和の時代は、これは合理的でした。

  • 経済が発展しているので、株価は上昇
  • 国債の利回りは高く、大きな運用益を見込める
  • 人口が増えているので、年金保険料がたくさん集まる

適当に運用していても、一定の運用益を見込むことができました。

しかし、平成に入ると、確定給付型は機能しづらくなりました。経済の前提条件が変わってしまったからです。

  • 経済が停滞して、株価も上昇しづらい(むしろ下落)
  • 国債の利回りは低く、運用益を得られない
  • 人口が減って、年金保険料が不足

すなわち、全てが逆転しました。

企業の中には、確定給付型年金を維持できなくなる例も出てきました。給付しようにも、原資がないからです。

そこで出てきたのが、「確定拠出型年金」です。給付を一定額にするのではなく、拠出額を一定にしようという政策です。

これなら、運用が期待通りにならなくても、企業としては問題ありません。

企業は一定額を支出し、その後の運用は従業員に任せることができます。運用に失敗して従業員が貧困層になっても、それは企業の責任ではありません。

この流れで出てきたのが、イデコ(iDeCo、個人型確定拠出年金)です。拠出額は個人が決めて、運用方法も本人が決めて、老後になったら年金として受け取るというプランです。

イデコのメリット

イデコのメリットは、税金です。拠出額には課税されず、年金として受け取る際も、年金の優遇された税制が適用されます。

通常の投資信託に比べて、税制メリットはとても大きいです。

また、投資信託の信託報酬も、一般的な投資信託よりも低く抑えられています。年金として受け取るための資金ですから、簡単に解約されないと期待できるからでしょう。

高い信託報酬を取らなくても、運営可能です。

メリットについては、アフィリエイトサイトにたくさん書いてありますので、この辺で終わりにします。この記事では、デメリットを中心に考察します。

イデコのデメリット

イデコのデメリットを考察しましょう。いくつもあるはずですが、代表的なものを見ていきます。

中途解約が事実上不可能

イデコは、脱退することが事実上不可能です。自由に脱退できるとすると、優遇税制を狙った、制度の趣旨をゆがめるような運用が横行することが予想できます。

これを防止するためかどうか不明ですが、脱退することができない仕組みになっています。

しかし、100%完全に脱退できないわけではありません。制度から抜け出して、今まで支払ったお金を脱退一時金としてもらう条件があります。それは、下の「すべて」に該当する場合です。

  • 国民年金の第1号被保険者で保険料の納付が免除されていること
  • 確定拠出年金の障害給付金の受給権がないこと
  • 通算拠出期間が1月以上3年以下又は請求した日における個人別管理資産が25万円以下
  • 最後に企業型年金加入者又は個人型年金加入者の資格を喪失した日から起算して2年を経過していないこと
  • 企業型脱退一時金の支給を受けていないこと

一般的な人の場合、これらすべてに該当するのは無理です。すなわち、事実上、イデコからの脱退は不可能です。自分が出したお金は、何十年という単位で、国の意向に沿って強制的に保管されます。

60歳になったら、引き出し可能です(イデコは年金用の資産運用なので、当然と言えば当然なのですが)。

「自分のお金なのに、国の意向によって自由に使えない」…これに拒否反応を示す人は少なくないだろう、と思います。

運用先は投資信託が中心

次に、運用先の問題です。ほとんどが投資信託です。投資信託は、運用会社から見て極めて「おいしい」です。

なぜなら、運用に失敗しようが成功しようが、必ず信託報酬をもらえるからです。

信託報酬は、「預かり資産の一定割合」と決められています。すなわち、運用で大失敗しても、確実に信託報酬をもらえます。

そのような投資信託において、運用する人は「本気」で運用するでしょうか。しかも、イデコです。特に宣伝しなくても、顧客は次から次へと投資信託を買ってくれます。

大勢が一斉に年金として受け取り始めると、どうなる?

最後に、イデコが始まった時、大勢が一斉に加入しました。加入者は、イデコを必要とする世代が中心だと予想できます。そして、彼らの世代が老後を迎えたとします。

何が起こるでしょう?

それは、「イデコで買った投資信託の売却」です。なぜなら、年金としてお金を受け取るには、投資信託を売却する必要があるからです。

イデコ開始時に買い始めた特定の世代が、一斉に売却を始めるのです。売却額は巨大になると予想できます。すなわち、株価や債券価格の下落圧力が高まることを意味します。

老後資金として期待したイデコですが、実際にもらえる額は期待よりも少ないかもしれません。

こんな状態になっても、運用会社や証券会社は確実に儲けます。手数料をもらえるからです。

イデコを始めるには、覚悟が必要

ひとたびイデコを始めると、自由に使えず、投資信託を中心とした金融商品しか買えず、老後に価格が下落して意外に年金が少ない、というリスクを抱えることになります。

運用に失敗しても、だれも責任を負いません。イデコの運用に失敗した本人の責任です。税制メリットを簡単に吹き飛ばすかもしれない、強烈なデメリットです。

そして、老後になってから失敗したと分かっても、もう挽回できないかもしれません。もう歳を取っているからです。若い時のように働くことはできません。

それでもイデコを始めるか?です。始めるには覚悟が必要です。

ただし、老後の資産形成の一部としてイデコを使うという選択肢は、ありうるでしょう。分散投資の一環です。

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