別記事で、金利で稼ぎたいなら外貨預金は全然ダメだ、という話を書きました。
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外貨預金をすると、銀行は簡単に儲かる(すなわち、顧客は…)
資産運用でお金を増やすという意味では、外貨預金は全然ダメです。最初に、その理由を考えます。 そして、外貨預金をすると、銀行にとってはウハウハのはずです。ノーリスクで儲かってしまうからです。順に考察して ...
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しかし、何らかの理由で外貨預金をしたいという状況があるかもしれません。そこで、買ってはいけない外貨は何か?を考察します。
外貨預金をする期間
買ってはいけない通貨を考察するために、外貨預金で運用する期間を考えます。
外貨預金をする場合、「買って、円安になるのを待って売る」という流れを期待します。と言いますのは、外貨預金では、円高になると損するからです。
そして、買ってから売却するまでの期間は、長くなることが一般的です。1か月や数か月でなく、1年や2年という単位になることが多いでしょう。
これには、2つの理由があります。
理由1:スプレッド
外貨預金をするに際して、円を外貨に換えます。その交換レートが、ひどく銀行側に有利です。あまりに銀行に有利なので、売買を繰り返して稼ぐことが困難です。
米ドル/円=110円のときに米ドル預金を始めて、米ドル/円=120円になったら外貨預金を解約して円に戻す、というくらいのイメージになるでしょう。
理由2:顧客の属性
外貨預金よりも圧倒的に有利なFXを使わず、あえて外貨預金を使おうと考えています。その顧客の属性を考えますと、以下の内容が予想できます。
- 金融にあまり関心がない
- 金融の勉強をしたくない
- 金融やお金に関する知識が乏しい
- すなわち、銀行の言いなりになりやすい
この場合、銀行の期待通りに買って放置する、というパターンになります。以上の理由から、外貨預金の投資期間は年単位だと想定します。
表示期間25年超の長期チャートで確認
外貨預金を年単位で保有すると決めたら、チャートは10年単位で確認する必要があります。表示期間が25年の長期チャートがあれば大丈夫です。
と言いますのは、為替レートの推移を見れば分かります。
1973年:
現行の変動為替相場が採用されました。
1990年前半まで:
基本的に、大幅円高の傾向です。
それ以降:
レンジ相場に移行しました。
すなわち、1990年代前半以降のチャートを見ないと、今は円高なのか円安なのか分かりません。外貨預金は、銀行に著しく有利な金融商品です。このため、歴史的円高のときに買って、歴史的円安のときに売却するというくらいのイメージが必要です。
金利だけみて決めるのは、自ら損したいと希望して突撃するようなものです。
各通貨の長期チャート
では、各通貨の長期チャートを確認しましょう。外貨預金は銀行で販売しています。そこで、銀行が提供しているチャートを見るのが望ましいです。
しかし、筆者が確認した範囲では、20年や30年といった長期で表示できるチャートが銀行ホームページにありませんでした。
そもそも、長期チャートが必要だと分かる顧客は、外貨預金をしません。よって、長期チャートを掲載しても、銀行にとって無駄なのかもしれません(長期チャートを公開すると、特定の外貨が全く売れなくなりますし)。
米ドル
下のチャートは、米ドル/円の長期推移です。DMMFXからの引用です。1991年から表示しています。
このチャートを見ますと、米ドルが100円よりも円高だったら、歴史的に安い位置にあると分かります(75円~100円と書いてある白の四角部分)。
すなわち、米ドル外貨預金を買っても良いかもしれません。
そして、売却して利益確定をするのは、円安になったらです。上のチャートでいえば、米ドルが120円を超えるころに売ってもいいかな、と分かります(120円を超える範囲と書いてある白枠部分)。
可能ならば、80円以下で買って、130円以上で売ります。しかし、それは大変なので、上のようなぼんやりした範囲で考えています。
ただし、この売買判断は、過去のチャートをみて判断すると、という条件付きです。将来の値動きは、誰にもわかりません。
豪ドル預金にしたい、NZドル預金にしたいという場合でも、長期チャートで確認するという手続きをします。このステップは省略できません。
トルコリラ
次に、トルコリラ円のチャートを確認しましょう。下のチャートは、2000年以降です。ちょうどよいチャートが見つからないので、自作しました。
ひどい円高だと分かります。
このチャートをみて、「この通貨は素晴らしいから買おう」と思うでしょうか。外貨預金をすると、外貨の値段が上がらないと利益になりません。下がってしまっては損になります。
なのに、下落を続けているチャートです。2018年には、15円台を記録しました。
南アフリカランド円も、長期的に円高傾向が続いています。
トルコリラや南アフリカランドの外貨預金が売れてしまう理由
では、このような円高が続くチャートなのに、トルコリラや南アフリカランドの外貨預金は、なぜ売れてしまうのでしょうか。理由はいくつかあるでしょう。
理由1:顧客の知識が乏しい
顧客の知識が乏しいのが、最大の理由です。知識があれば、新興国(トルコなど)の通貨を買って、大きなリスクを背負いたいとは思わないはずです。
(知識があったら、そもそも資産運用で外貨預金は選択肢になりませんが。)
知識がないと、知識がある人(銀行や証券会社等)のカモになります。なぜなら、知識がないため商品の良し悪しを判断できず、知識がある人の思うがままに行動しやすくなるからです。
理由2:金利が高い
銀行のホームページで金利を確認すると、新興国の金利は高いです。ただし、「なぜ金利が高いか」を考えれば、買うという選択肢にならないと分かります。
新興国の金利が高い理由は、「その国の信用力が劣るから」です。信用力が不足する場合、金利を高くしないと誰もお金を出してくれません。
個人が資産運用するにあたり、信用力が劣るリスクが高い国を選択肢に入れるのは、とても難しいです。
お金の訓練を積んだ人ならば、対象になるかもしれません。
理由3:銀行が販売している
これも、大きな理由でしょう。販売していなかったら、売れません。しかし、販売しているので、売れます。
しかし、銀行としては、売れるものを売るのは当然です。売った結果、顧客が利益になろうが損しようが、それはどうでも良いことです。
顧客が求めているものを売っているというだけです。
結論
結論としては、タイトル「外貨預金で買ってはいけない通貨」の回答は「新興国の通貨は買うな」ということになります。
そして、このブログ全体で採用されている考え方は、この記事でも当てはまります。「知識がない顧客は、知識がある人にカモにされる」です。知識がないと、ずっと損を強いられます。
もちろん、過去20年以上のトレンドが変わり、今後為替レートが上昇するという可能性はあります。しかし、それが実現しても、ただの偶然、運です。
すなわち、お金の知識が重要だと分かります。知識の有無は、自分の損得に直結します。
では、どうやってお金の勉強をするか?です。これを、リンク先の記事で考察しています。
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お金のルール・常識の勉強方法
このブログでは、お金について比較的厳しい目で考察しています。 「こうすれば儲かる」などという話は皆無で、勉強して知識を得ることが大切だと書き続けています。でないと、知識がある人にカモにされるからです。 ...
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