1つ前の記事「外貨建債券投資(外債投資)は難しい」では、外債投資がいかに難しいかを確認しました。
定期的にクーポン(利子)をもらえるのに難しいとはすなわち、コストが大きすぎて私たちの収益は小さく、その分だけ証券会社は儲けやすいということです。
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外貨建債券投資(外債投資)は難しい
外貨建債券で稼ぐのは、とても難しいです。その理由は、下の5つにあります。 為替のスプレッド 債券価格のスプレッド 為替レート推移 物価上昇率 発行体の信用状態 順に見ていきましょう。 為替のスプレッド ...
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しかし、難しいと言ってばかりでは、外債投資はできません。そこで、比較的簡単にできる外債投資方法をご案内します。
ただし、この方法が良いと主張しているわけではありませんし、この方法で儲かると勧めるわけでもありません。投資方法の一つとしての紹介です。
米ドル建て債券だけ買う
外貨は多くの種類がありますが、債券の銘柄数が多いのは米ドルです。よって、米ドルを中心にします。間違ってもトルコリラ建てや南アランド建てで債券投資しようと考えてはいけません。
トルコリラや南アフリカランドは、FXの世界でも人気のようです。しかし、プロでも取引しないような、リスクの高い通貨ペアです。
これらの通貨は、通貨価値がどんどん下がっていきます。
下は、南アフリカランド/円の長期チャートです。2004年末くらいからの表示ですが、右肩下がりになっていることが分かります(DMMFXからの引用。以下同じ)。
2018年後半:7.5円くらい
13年のうちに、価値が3分の1くらいになってしまいました。この円高によるマイナスを、債券の金利でカバーするのは大変なことです。金利には税金もかかります。
米国債を買う
今回は、簡単に買うことを考えています。そこで、企業の財務諸表分析はしません。
財務諸表分析を省略しつつ、安全度重視で投資したいです。
この視点から考えると、米国債が最強でしょう。一般企業の債券を買うのと比べて、金利はいくらか不利になるでしょう。それと引き換えに、銘柄を簡単に選べますし、安全度も高いです。
米国債よりも高金利が欲しいけれど、安全度も欲しいという、少々ぜいたくな希望を考える場合は、国際機関等の債券も選択肢になるでしょう。
超円高時に買う
円安のときに買うと、その後円高になったら評価損になってしまいます。そこで、少しでも円高のときに買います。下は、米ドル/円の長期チャートです。1990年から表示しています。
米ドル/円=75円のような、円高記録ギリギリで買おうと思うと、米ドルを買うチャンスがほとんどなくなります。
そこで、そこまで頑張らずに、上のチャートの下半分くらいの位置で買いたいと考えるくらいでも良いかもしれません。
チャートの上限あたりで買うのは、避けたいです。その後円高になったら大変です。
不景気なときは短期、好景気の時は長期
不景気の時は、金利が低いです。そして、好景気になると、金利も上昇します。
そこで、不景気の時は、満期まで期間が短い債券を買います。満期になったら、再び同様の債券を買います。金利が低い債券の保有期間を短くして、将来やってくるだろう好景気を待ちます。
景気が徐々に回復しても、短期債を買い続けます。こうすれば、債券が満期になって再び買うとき、徐々に金利が高い債券を買えるようになります。
そして、景気が絶好調になったら、長期の債券を買います。
その後、不景気に転じると、金利は少しずつ低下します。しかし、長期債を買っているので、満期まで高い金利をもらうことができます。
円に戻さない覚悟
そして、米ドルで運用を続け、可能な限り円に戻さないようにします。円に戻すと、スプレッドの分だけ損してしまいます。
ただし、歴史的な円安水準まで為替レートが推移したら、円に換えても良いでしょう。為替差益を得られます。
あるいは、日本の財政状況や将来ににいくらかでも不安感を持っている場合は、保険として米ドルを保有し続けるのも良いでしょう。
日本がダメになってしまう場合、大幅円安になると想定できます。その際、円を持っているよりも米ドルを持っている方が安心です。
外債を簡単に買う投資法のメリット
上でご案内した方法を採用すると、以下のメリットがあります。
- 円高時に、含み損になりづらい
- 円安時に、為替差益を得やすい
- 円から外貨に交換する手数料を減らせる
- 米国債を買うので、安全度が高い
- 特に考えなくても、簡単に取引できる
資産を円だけで持っていると、多少なりとも不安を感じるかもしれません。この不安を解消するためにも、米ドル建ての債券を持つ価値があります。